【農業をしようと思ったきっかけは?】

もともと、植物が好きで、大学では農学部に進学し、農業関係の会社に就職しました。若いころは緑肥作物の研究・開発などに携わって、農家さんを直接訪問する機会も多くありましたが、その後、同じ会社の中で徐々に現場からは遠ざかっていました。50代半ばになり、今後の人生を考える中で、もう一度農業に直接関わる仕事をしたい、可能であれば自分自身で農業をしてみたいと思うようになりました。

 

 

【なぜ農の学校を選んだのですか】

まずは、農業について基礎から学ぶことができる場所を探しました。いろんな野菜を栽培から出荷まで習えるところ、と考えました。また、以前から国内の食糧自給の問題や、食品の安全性、農業生産における環境負荷にも関心がありましたので、できれば有機農業を習いたいという思いもありました。

そのような中で、農の学校の存在を知りました。有機農業の先進地である丹波市で、栽培技術と農業経営をさまざまな実践的なプログラムで学ぶことができる、そして、卒業後の就農についても面談などで相談できるという点に魅力を感じ、入学を決めました。有機農業の歴史がある地域なので、先輩農家もたくさんいて、有機農業を始めやすい環境があることもメリットでした。

また、丹波市なら、自然とまちのバランス、都市からの距離感などもちょうどいいな、とも思いました。

 

【農の学校について】

実際に入学してみると、思っていた以上に、基礎から農業技術を学ぶことができました。そこから圃場に入って行う実践的な実習も良かったです。機械操作もいろいろ経験することができました。

また、国内の著名な講師から農業経営を学ぶことができました。一番印象に残っている講義は、三重県の農業経営者さんでした。小面積できちんと収益を上げ、日々の暮らしも楽しめる農業の形を実践されています。「技術力がないと面積、経費、時間の大きなロスになる。栽培技術が農家の要、有機農業は特にレベルを上げる必要がある」といったお話しが強く印象に残っています。

 

● 印象に残っている野菜

学校で印象に残っている野菜は、同級生と一緒に作付け担当者として栽培したブロッコリー、カリフラワー、カーボロネロなどです。夏から担当して苗を育てましたが、特に暑い夏でしたので、苗の水やりと定植後の虫とりが思った以上に大変でした。最終的に、そのうちの一つが「身体に美味しい農産物コンテスト」という全国大会で最優秀賞に輝きましたので、いい記念になりました。

 

 

● 休日に農家訪問

学校の休日を利用して、ひと月に2,3回程度、近隣の有機農家さんにお手伝いをする形で農作業の経験をさせていただきました。これまで長く有機農業を続けてこられた農家さんで、実際の畑を見せていただきながら、農業に向き合う姿勢、環境への意識などを学びました。お忙しい中、受け入れ、貴重な経験を多くさせていただいたことに感謝しています。

 

【卒業後】

卒業後は、丹波市の自然の中で季節を感じながら、自分なりの農業、生活スタイルを見つけて、人生を楽しみたいです。

農地は、地域の方や学校の先輩にお世話になり、学校からほど近いところでお借りできました。近所に卒業生の皆さんもおられるので安心感があります。また、同級生と一緒に農機具倉庫を借りることも決まり、協力しながら農業を行っていきたいと思っています。

学校で習ったことをベースとして、なじみのある緑肥作物を活用しながら土づくりをしたいと思っています。最初は、幅広い作物を栽培してみて、自分の地域にあった品目や時期を見極めながら、販路も広げていきたいです。将来的には、豆類、根菜類、アブラナ科野菜などを中心に効率的で安定的な経営を目指すことが目標です。

 

 

【今後の抱負】

学校ではいろいろなことを教えていただき経験することができましたが、それと実際に自分で農業を経営するのは別物だと思っています。これから思うようにいかないことも多くあると思いますが、それぞれを受け止めて観察し、経験として吸収することで、技術を身につけながら農業に向き合っていきたいと考えています。

一年間同じ時間を過ごした同期生の皆さんには、本当に感謝しています。これからもつながりを持ち、支えあいながら農業を行いたいです。