15年前、親類や知人の誰もいないこの丹波の地に移住してきた平松稔久さんと由香子さん

ノームフィールズの「ノーム」は自然界と共存する真面目な小人、

農に務める「農務」、丹波特有の「濃霧」、農業の未来への「農夢」などたくさんの想いが込められています。

移住して農業をすることが当時まだ珍しかった丹波地域でトマトを中心に農業を生業として来られたおふたりにお話をお聞きさせていただきました。

二拠点のいなか暮らしから、思いがけず農家へ

大阪の照明器具メーカーに勤めていた平松稔久さん由香子さんご夫妻。

いなか暮らしをするためのセカンドハウスを探している中で、丹波で現在のお住まいを見つけました。

週末だけ通う生活を1年ほど続けた中で、仕事の転職を考えるようになり、軽い気持ちで農業でもしてみようかと

苺とトマトを生産されている農家さんに2人で研修に行くようになりました。

当時の新規就農離陸加速モデルという制度を使い、1年半ほどの研修を経て、トマトを中心に栽培する形で独立を決意。

農家としてのスタートを歩み出します。

 

まだその頃は、移住して新規で農業を始める人たちは今ほど多くはなく、行政の相談窓口でも「安定した仕事を辞めてなぜ儲からない農業をするのか」と懸念する声も度々あったとのこと。

しかし、なんとかなるだろうという勢いだけでハウスを建て、とにかく始めたのだとお二人は笑います。

丹波で「トマトといえばノームフィールズ」を目指して

研修先の師匠のつてでお借りした農地にハウスを建て、トマトを中心に栽培を始めたノームフィールズ

しかし、粘土質で水持ちの良い研修先の土地に比べ、水はけの良いノームフィールズの土壌。

全く同じやり方では通用せず、教わったことを基準にしながら

肥料のやり方や栽培方法など独自で試行錯誤を重ねます。

ノームフィールズのトマトは育苗から行っています。

毎年1月初旬に播種をし、芽が出てからは

寒さや暑さにやられないよう、毎日のトンネル開け閉めを欠かせません。

そのためにトマトの栽培期間中は、出かける用事があるときもどちらかが必ず残るようにしているのだとか。

 

リピーターと前職の繋がりからの販路拡大

栽培方法の試行錯誤、こまめな育成管理とお手入れ、そして完熟してからの収穫といったこだわりだからできる美味しいトマト。ノームフィールズのトマトを食べたお客さまの多くはリピーターとして注文をするようになります。

 

それでも農業を始めたばかりの頃には、まだまだ認知度も広がらず、販路に苦労するというのが通常の新規就農なのですが

おふたりが前職で勤めていた照明器具メーカーの当時の社長が元スタッフが農家になったことを応援し、お野菜や黒枝豆の収穫体験をたくさんの方にご紹介いただけたのだそう。

 

また、今でこそ直売所にはそれぞれの農家さんオリジナルのロゴマークが貼られた野菜がたくさん並ぶようになりましたが

まだおふたりが農業を始めた頃には値段以外にロゴマークのようなシールを貼っている農家さんはほとんどなく、少しでも目立つように小人マークのシールが貼られたトマトを並べました。

まだ当時は、利用者も少なかったFacebookやホームページも活用しながら、

いち早くブランディングと情報発信に努めてきたノームフィールズ。

 

最初は同僚や友人などが注文してくれたトマトやお野菜は、自分の注文と一緒に贈答品としてもご注文をいただいたり、リピートも増え続け、今では求められるニーズに対し、2人で栽培可能な作物の収量が足りないほど。

SNSやホームページで注文受付を開始すると一気に埋まってしまいます。

前職の職場からも当時の社長から世代交代がされた今でも10年以上に渡りご紹介は続いており、

年間を通して大きな収益の柱となっています。

 

冬野菜のお野菜セットも人気

トマトの収穫時期は5月末から7月初旬まで

現在は3種類のミニトマトに中玉、大玉と5種類のトマトを要望に応じて箱詰めし、出荷しています。

10月には黒枝豆の収穫、11月頃から1月末までは冬野菜の配送を行っています。

たくさんの種類の野菜を栽培する農家さんも多い中で、ノームフィールズでは自分たちが本当に美味しいと思ったものを

定番品に少しずつ足したり引いたりされています。

トマト以外のお野菜、特に冬野菜の販売は、都市部でのお客さまへの配送が多いため、

都会のスーパーには並んでいないようなサラダに映える紫の大根や色の変わった人参など、珍しいものも入れるようにしています。

畑の土壌に合うもの合わないものもありますが、定番商品と一緒に12〜3種類が入ったお野菜セットは新鮮で美味しいお野菜が届くととても喜ばれています。

 

 

移住してからの15年とこれからのノームフィールズ

いつの間にか15年も経ってしまいましたね。と話す稔久さんと由香子さん

ふたりでいるときはケンカもすると言いながらもとても仲の良い様子が印象的です。

誰も知り合いのない地に来てはじめての農業に、これまで苦労したことを聞いてみても

飲みに行けないことくらいだと笑います。

農業は季節に応じて仕事が変わり、なかなか常時雇用の体制を作るのが難しいことではありますが

今後の展開としては、やはり人を雇うことは考えているのだと教えていただきました。

今のお客さまだけでなく、1人でも多くの方に美味しいトマトを食べてもらい

トマトと言えばノームフィールズと丹波中で言われることを目指して

そして美味しいトマトを丹波から全国に届けるため、真面目に一生懸命取り組むふたりのノームが今日も畑で汗を流します。

 

 

ノームフィールズ

所在地:兵庫県丹波市丹波市氷上町清住

https://gnome-fields.jimdofree.com/