丹波市氷上町北御油。約30軒の組合員で構成される「農事組合法人 丹波北御油アグリネット」(以下、北御油アグリネット)が、地域の農地を支えています。
組合員から農地を預かり、水稲・麦・小豆の栽培を中心に、約22ヘクタールを管理。法人化して約10年、その前身となる営農組合の時代を含めると、37年にわたり北御油の農地を守り続けてきました。

立ち上げ当時は、国の施策で水田利用を米の栽培から他の作物への転換を強く推奨していた頃。北御油アグリネットの前身である北御油営農組合では小麦や飼料作物などの栽培でブロックローテーションを計画し、取り組みを始めました。
当時の中心メンバーの方々は、今では80代後半を迎えています。少しずつ世代交代をしながら、現在では40代から60代のメンバー8名がオペレーターとして作業を担っています。
北御油のすぐ近くにある「もみじめぐり」の名所、曹洞宗 永谷山 円通寺は、秋になるとたくさんの観光客が訪れます。北御油アグリネットの35年以上の活動の中では、観光シーズンには円通寺の境内で高齢者が栽培した野菜の委託販売や、北御油で採れた小麦や黒大豆で作ったドーナツやポン菓子を提供するなど地域の活性化イベントへの参加、サツマイモ掘りや黒枝豆収穫など観光会社と提携し農業体験型ツアーを企画実践し、近畿、東海地域から大型バスでの観光客も多数お越しになったそうです。今では大半のメンバーが本業の仕事もある現役世代。休日の作業を中心に、無理なく持続できる形を重視する中で、現在の小豆、小麦、水稲、育苗ハウスを活用した野菜栽培など活動の形が出来上がってきました。
11月中旬、麦の播種を行う頃に現地を見させていただきました。麦の播種が終わると、小豆の収穫、2月になれば麦に追肥を行い、5月には病気の防除、6月には麦を刈り取り、7月に小豆の播種を行います。そこに水稲の作業も加わって、年間を通して季節ごとの作業も手慣れたもの。メンバー全員が揃うと1日か2日で作業は一気に完了させてしまいます。
組合員の営農意欲を大切にする
麦の播種はトラクターで種麦と肥料を撒く作業。隣り合う区画を手分けして、それぞれのメンバーが効率的にあっという間に作業を終わらせていきます。今年度は6ヘクタールほどですが、昨年度は10ヘクタールほど麦の作付けを行いました。

どの作物をどれくらいの面積にするかは組合員さんたちの希望に応じて決まります。まずは来年のお米について家族構成やその時の状況で「来年は私のところは1ヘクタールしたい」とか、「うちは3反だけでええわ」とか、そうした声を拾い上げ、集約してから水稲栽培面積を決定。その後に麦や小豆の面積を決めていきます。
北御油の圃場は区画整備が行き届き、22ヘクタールほどの農地を効率よく作業できるようあちらこちらにバラバラにならないよう水稲のエリアを割り振ります。
法人は農地の最後の受け皿
高齢化や人口減少で零細農家での機械更新や農地の管理は、なかなか厳しい時代になりました。北御油アグリネットのような農事組合法人で地域のみんなで力を合わせて農業を担う仕組みがあることで、地域には耕作放棄地もなく地域内で暮らす人々の生活環境が保全されていきます。
農家一人一人ができる範囲の中で精一杯頑張るような形を取り、どうしても無理な場合は法人が担うことで、持続的に農地を守るための仕組みとして、法人運営がされています。
また、どこの地域にも共通してある大変な夏場の道路や排水路の草刈り作業。法人でトラクターに装着する草刈機械を導入し、自治会からの委託で管理作業をしていこうという話もあるそうです。
効率と収量を確保した丹波大納言小豆
丹波を代表する特産品のひとつ、丹波大納言小豆。昨年度は気象条件の影響で市内全体の収量が大きく落ち込みました。北御油アグリネットでも例外ではありませんでしたが、今年度は莢の入りもまずまず。

11月の小麦収穫時期には、茶色くなりかけていた丹波大納言小豆。畑でそのまま乾燥させ、12月になると葉が落ち、枯れ枝と鞘のみが残ります。そこをコンバインで一気に刈り取り収穫します。小麦と小豆は同じ機械で作業ができ、それが小豆栽培を広げてきた理由にも繋がっています。

収穫された「丹波大納言小豆」は、艶やかに輝き、まるで赤い宝石のよう。生命力あふれる赤色がトラックの荷台一杯に広がります。選別は行わずそのままJAライスセンターへ運び込みます。

全国の小豆生産量の9割以上は北海道の大規模農業によるものですが、「大納言小豆」という名称の由来は丹波地域にあります。煮ても割れにくい丹波の小豆は一級品。かつて京都の御所へと献上され、「切腹をしない大納言」の位になぞらえて名付けられました。
丹波大納言小豆の特徴は、粒が角ばった俵形で、味も濃く、風味もとても豊かです。希少な逸品として高級和菓子などに多く利用されています。北御油アグリネットでは、この丹波の風土が誇る特産品を地域の農地と共に守り広げています。

高齢化や人口減少は、日本の多くの地域が抱える共通の課題です。地域に暮らす大半が農家であるこの北御油の地域で、自然と共に豊かで幸せな暮らしを守っていくために。自分たちの力で、持続的な農業のカタチを確立している北御油アグリネット。丹波の地ならではの集落営農のひとつのモデルがここ北御油で静かに息づいています。










































