【入学前について】
●農業をやりたいと思ったきっかけは何ですか
一番大きな動機は、一生続けられるシゴトを探していたことでしょうか。人生百年時代といいますが、昔なら60~65歳で定年。その後がセカンドライフだろうか、と考えてみたとき、当時のまま仕事を続けることに迷いが生まれました。「年をとってもできる仕事は何だろう」と考えていたら、実家の周りで「農業」だけは70~80代のおじいさんたちが元気に仕事をしていました。なるほど、農業なら僕は一生続けられるかもしれない、と感じたんです。
実家では親が小さな畑をしていて、月に1~2回手伝っているうちに、うまくいくときもあるし、いかないこともあったので、そこで感じた楽しさと難しさですね。ずっと飽きずにできそうだな、と。ずっと死ぬまで、あーでもない、こーでもない、と追い続けられるんじゃないかと思ったんです。
●なぜ農の学校を選んだんですか?
自分でやり始めようとしたときに、自分の疑問に明確に答えてくれる人がまわりにいませんでした。野菜づくりを基本から学んでみたいと思っているときに、農の学校に出会いました。農の学校は、野菜全般を扱っていることと、実習時間がとても多いことが魅力でした。理屈だけなら本だけでも良いのですが、農の学校は、土に触って学ぶ時間が圧倒的に多い。これが自分に合っていると思いました。
もうひとつ本当のこと言うと、1枚の大きな写真に惹かれたんです。農業系のイベントで見た農の学校の写真。受講生がいる畑の風景がすごく綺麗で、「こういう環境で野菜をつくってみたい!農業をやってみたい!」と惚れこみました。
早速、妻を誘って現地見学会に来てみると、そのままの景色があって「この丹波市の風景の中で農業を学ぶって最高やな!」と思いましたね(笑)。
【農の学校にて】
●良かった講義、印象に残っている学びなど教えて下さい
全部が新鮮でした。野菜本来の性質を学ぶ植物生理学や、土づくりに関する授業は一番知りたかった内容でしたし、マーケティングに関しても、先生方それぞれが農業や流通の第一線に立っている方々なので、とても実践的な学びでした。
複合経営をされているある農家さんの講義で聞いた「クロージング」の考え方は、目からウロコでした。マーケティングというと、右肩上がりに顧客を増やすことを目指すのが当然、と思っていましたが、目指す農業のあり方によっては、一定以上広げすぎると固定客の満足度が下がり始める、だからどこかでマーケットを半ば閉じるのだ、というレクチャーでした。自分が目指す農業も、「ファンになってくれたお客さんに対して、全力で美味しいものを届けたい、家族のようなお付き合いをしていきたい」、というものなので、大事な考え方だな、と思いました。
自分も「ファンになってくれたお客さんに対して、全力で美味しいものを届けたい、家族のようなお付き合いをしていきたい」という農業を目指いしているので、大事な考え方だなと思いました。
農の学校のインスタに写っている僕の写真を見て、妻が「いっつも笑ってるよね」と言うんですが、日々、楽しいです(笑)。
【就農予定について】
●どんな農業をしていきたいですか?
やっぱり、お客さんとの関係を大事にしたいですね。野菜だけでなく、うちの畑のことも知ってもらって、「ここの野菜をまた食べたい」と思ってもらえるような関係を、野菜を介して築けたらいいなと思います。
たとえば、このナス美味しい!どうやって作ったらこんな味になるんやろう?と思ってもらいたい。このナスができあがるまでに、どんな土の上でどんな風にあたりながら、どんなふうに育ったか。そのストーリーを追いかけて、アニメの聖地巡礼じゃないですけど、畑に訪ねて来てもらえるようなお客さんとの関係を築きたいですね。
妻も丹波市の暮らしをとても気に入っていて、一緒に農業をやっていくつもりなんですが、よく「自分たちの野菜の味を気に入ってくれた人を、迎えておもてなししたいね」と言っています。家族や親せきのような、気の置けないつきあいができる農業をしていきたいですね。
●どんな野菜をつくりたいですか?
丹波市の気候風土にあった野菜を、自分なりに研究して作れるようになりたいです。丹波でしか出せない味。丹波だからこそ作れる野菜を究めていきたいです。